12月になった。10月11月は稲刈り、麦植え、大豆の収穫と農作業が多忙で、毎年のことながら季節の移り変わりをゆっくり楽しむ暇はない。それでも、朝の散歩で近くの糸が浜の海浜公園の銀杏が色づいているのを見ると、秋の深まりを感じる。
今日は冷たい小糠雨が降っている。美術館の休憩室から眺める田圃風景の今は、不毛の地を思わせないでもない。そこに音もなく落ちていく雨。しかし、この風情が僕は嫌いではない。むしろ心地いい。落ち着くのだ。
実は荒涼と見える田圃には10日ほど前に、麦の種をまいてある。近くによって見るとすでに麦は芽を出し始めている。2月になるとこの田圃が緑の絨毯を敷き詰めたようになるはずである。自分でいうのも手前味噌で恐縮至極だが、この地に美術館を建て、この部屋から眼下に田園を眺め、由布鶴見の山を遠望できるのは立地場所としてはなかなかのものである。 (省象)
凛として穏やかな景観です。
降っているようで降っていないようで、いつの間にか大地を潤す小糠雨。
寂しさを連れてくるような霖雨、どちらも好きです。
寒い季節が来たけれど、地下で芽吹きを待っている植物の命に思いをはせながら、次の季節の訪れを待ちましょう。
私もこの景観、好きです、見ていて落ち着きます。
来(きたる)さん(お舅さん)が「こうやって時々降る雨はいいなあ。人間の気持ちにもこんな湿り気(潤い)が時々必要じゃなあ・・・」と、しみじみ言っていたことを思い出します。