一元化への道

 花の木も開館して、まもなく半年を迎える。たくさんの人が訪れてくれた。2月から始まった新しい展示も、作品によってみる人の琴線に触れるものがあるようだ。
 実はこの頃僕の裡で少し心境の変化が起きている。俊造が残した日誌に目を通すことができるようになった。アトリエに「一元化への道」と題した大学ノートが残されていた。一年に一冊。1995年から亡くなる2010年までの記録である。そのノートが居間の本棚にあることはずーと気になっていた。しかし、それを目にすると
正直なところ辛くてやるせなくて、ながいことどうしても手に取ることが出来ずにいた。ところが、今年になってふっと読んでみようかとの気になった。最近、それを読み始めているところである。
 誰に会った、誰から電話が来た、誰に手紙を出した、どこに行った、
そんな事務的なこと。制作している作品のこと。食い扶持を稼ぐための労務の日報。以上が大半である。そして、時々彼の思いが綴られている文章に行き当たる。最後まで読み終えたときに、彼が田舎にUターンして試みた一元化への道の到達点が僕にも見えてくるのではないかと期待している。 (省象)

一元化への道” への1件のコメント

  1. 日記を開けなかった感覚よくわかります。
    自分の意識のどこかに亡くなった人の存在がくっついているのではないか、そんな気がするんです。
    そんなもやもやした感覚から覚醒する瞬間があると感じました。
    今は私もとても穏やかです。

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